~整理整頓~
目下、断捨離中である。
いや、断捨離などという立派なものではない、不用品をひたすら捨てているだけだ。
いずれ娘の部屋にしようと予定していた部屋がいろいろなもので溢れ始め、うっかり娘も成長してきて、こりゃいかんとようやく重い腰をあげたのだ。
ゴミ袋を用意する。
家の中をあてもなくうろうろする。目についた棚を開けてみる。
…うわあ…
10年も前が期限の、防災セット。乾パン、水、ドライお粥。これは心置きなく捨てられる。大量の保冷剤(なんでこんなに…)。もらったままのブランドもののタオル(今すぐくたびれたタオルはぞうきんにして、これを使おう。貧乏臭いタオルをつかっていたのだと、はたと気がつく)。
いつか終わるのだろうか、と、時々絶望的な気分になる。
いや、ゴールはない、生活が続く限りこれを繰り返すのだ。ゴミを出し続ければそのうちにいるものだけが残る。そうしたらもっと生活しやすくなるはずだ、と、哲学的に自分を奮い立たせて、今日も私はゴミを出す。
どうすれば算数の成績が伸びるのか、という質問をよく受ける。
地道すぎても先が見えず子供は嫌になるし、急いではしょりすぎてもすりきれる。
算数、嫌い?
三者面談で、母親の横で沈鬱にしている女の子に聞いてみる。
…好きじゃない…。
何で?
…答えが合わないから。何回やっても。
そうだよねぇ、それじゃ嫌になっちゃうよね。母親は困り果て、私は苦笑い。
この子を算数嫌いの檻から出してあげたい。算数大好き!とまではいかなくとも、少なくとも生活に役立つ科目ということを実感してほしい。
- 大前提の計算力
①小数計算→特に割り算。余りを求める場合の小数点の位置、四捨五入の処理は完全にできるようにしておきたい。
②分数計算→3、7で約分するのをよく忘れます。こればかりは量です。約分の習慣をつけましょう。
どんな問題でも、それを支える計算力がなければ正答は得られません。確実に得点する癖をつけましょう。
- 陥りたくない、2つのタイプ
- ごちゃごちゃレゴタイプ
大小色とりどりのたくさんのパーツ。大きなバスケットにすべて入っている。
夢中になって何かを作るけれど、欲しいパーツがどこにあるのか、まるでわからない。がらがらとバスケットをひっかきまわし、あ、これかな、当てはめてみる。違う、大きさが合わない。ぽいっと戻してまたがらがらと探す。いろいろ当てはめるけどちっともピタッと来ない。
毎週毎週、カリキュラムは進んでいく。内角の和の公式と対角線の本数の公式が終わったと思ったら、次の週はもう等差数列の和の公式。二進法、倍数変化算、差集め算、どんどんやってくる。
そうなんだ!なるほど!といって頭にぽいっと、入れたはず、でもいざ問題を解くときに、どうすればいいのかわからない。
せんせー、これ、何の公式を使うの?どうやれば解けるの?
こういう子は、あまり深く考えずにその場で解いているので、なかなかつみかさならない。とりあえず知っている式を当てはめて当たればラッキー。男の子に多いタイプだ。
対策→忘れかけた頃にやらせてみる。それを繰り返せば、少しずつカテゴリー別に収納できるようになる。レゴも、色別、大きさ別でざっくりと別れていると使い勝手がいいですね。それと同じです。
- しまいこみ私書箱タイプ
先に言うと、女の子に多い。ノートはきれい。自分の出した答えにあまり自信がない。これでいいのかな、あ、合ってた、良かった。時計算、小さな箱に入れる。相当算、小さな箱に入れる。ひし形の面積の公式、小さな箱に入れる。
ずらっと並んだ箱は、私書箱のようだ。
では、問題を解く。
…どこに入れたんだっけ?あの公式?どの式を使ったら解けるのかな?
あんなに頭に入れたはずなのにと、整然と並んだ私書箱の前で途方にくれることになる。
算数は大きく分ければ、図形と数量だ。図形の問題と数量の問題では難しさが違う。数量の問題の難しさは、一見しただけでは「何の問題かわからない」という点にある。難関校ほど、単元の垣根はなくなると思っていい。速さの問題と思いきや、比例の考えをうまく使わないと壮大に複雑な計算になってしまうもの。単位換算が深く関わってくるもの。一筋縄では行かない。
だからこそ、細かく小さな箱に入れてしまいこんではいけないのだ。
算数は「覚える」科目ではない。理解した知識を使ってはじめて問題は解ける。後生大事にしまいこんだ知識なんて、そのうちカビが生えてしまう。
対策→やはり忘れた頃に復習してみる。頭に入れることより、頭から出す、手を動かして図を書き、頭に入れたものを頭から出す練習をする。
「頭に入れる」ことの2倍くらい、「頭から出す」練習をした方が良いと思う。なんだっけ何でだっけと考える度に、どうしてそうなるのかを考え、頭の中は整理整頓されるはずである。暗記しただけの公式は無用の長物だ。躊躇なくゴミ袋に捨てなければならない。
多く解くことはもちろん必要な場面もあるけれど、「自分の力で、自分の知識を使って、必要な図を丁寧に書いて、いやこの図じゃないなと試行錯誤を繰り返して」やっと解いた問題は頭に残る。時には1問にすごく時間がかかってしまうかもしれない。でもそれが勉強だ。どこにしまったかわからなくなってしまったような知識なんて、何の役にもたたないのだ。
「ドラえもん」ののび太が、テストのために出してもらった道具、「暗記パン」。教科書にペタッとくっつけるとその内容がパンにコピーされる。それを食べれば教科書の内容はすべて頭に入る。
いいぞいいぞとパクパク食べたのび太は、結局お腹を壊して、暗記した内容はすべてご破算になってしまった。
暗記に走らないように理解させ、その知識を使うことで解ける達成感を1学期どれだけ与えられるか、そしてそれを定着させるべくペースメイクしてあげられるか。
…やっぱり家の片付けより授業の方が得意だなと、頭の中が整理整頓されました。