[コラム]『赤ずきんちゃん気を付けて』~夏の終わり~

夏の終わり~実りの秋~

子供の頃からずっと、夏の終わりが好きだ。

学校のプールに行き、アイスを食べて、ノースリーブのワンピースを着て。親戚の家に泊まりにいって、いつもじゃない道を歩いて。いつも学校に行ってる時間に電車に乗ると、汗をかいた大人が座席に座り目を閉じている。いつもの大人の中にいつもじゃない子供の私。
時おり夕立、雷。「あらーお洗濯ものー」と慌ててベランダに出る母、あっちこっちの窓を閉めてまわる私と弟。縁側の窓越しに黒い重たい雲を見上げると、思わず外に飛び出した。夏だもん、風邪なんかひかないよ!弟と笑いながらびしょびしょになって、当然怒られた。

でもお盆を過ぎると、本当に不思議なのだけど、秋の虫が鳴き出す。ツクツクホーシが鳴くようになったらもう夏も終わりなんだよ、と教えてくれたのは父であったろうか。
どうしよう、夏が終わってしまう。楽しかったのに。

最後の宿題や自由研究をぼんやり片付けると2学期は何食わぬ顔で始まった。久しぶりの友達、学校、先生。喧騒も新鮮で、夏休みはもう忘却の彼方へ。

大人になってから、あまりにしれっと秋が来ることが寂しくて、ここ何年も8月の終わりに海に行く。娘が生まれてからはバケツとシャベルを持って。砂あそびを口実に、太陽が傾き始める頃を見計らって砂浜に立つ。
海の家は撤収の最中で、騒々しいBGMもかかってない。
娘とひたすら穴を掘る。堀をつくって城を建てる。満ちてくる波がさらう。ひゃーと言いながらもう一度。ひたすら繰り返す。大きくなったらもう砂あそびなんかしないかな、と思っていたが、6年になってもまだ楽しいらしい。私も砂あそびは好きなので、気があってよかった。
太陽が落ちて暗くなる頃、足元を波につけてぼんやりしていると、何となく夏もおしまい、という気分になれる。ひたすら問題に向かっていたみんなの姿を思い浮かべる。

たくさん、問題といたねえ。
波の音に今年の夏を振り返る。
本当に生徒たち、たくさん解いたなあ。正当率を上げるように、基本的な問題をたくさんクリアした日もあったし、脳みそをギリギリ絞りたくてきつい問題も解いた。難問にはどこまでアプローチできるか、最後まで解けなくても秋以降過去問を解くときに「どうやって糸口を見いだすか」という姿勢を学んでほしいし、自分の得手不得手を把握した上で、とれるところは確実にとる!ということもできなくてはならない。
みんな休まずさぼらず、それぞれよく取り組んだね。

色んな夏がある。
みんなは今年、頭の中はフル回転、充実の夏だったはず。
さあ、秋だよ、ペースあげていこうね。