山脇学園中学校 2021年度入試について
交通の便に恵まれた港区赤坂にありながら、広々としたキャンパスを持つ山脇学園中学校は、従来の一般入試(A・B・C)に加えて、国算1科入試、英語入試、探求サイエンス入試と多様な入試形態で人気を集めています。特に2月1日午後の国算1科入試は、午後入試を行う学校が増えているとは言え、志望者増加の傾向にあり、募集人員が増員されます。
①一般入試の主な変更点
・募集人員170名(20名減)
A入試:80名→70名(2月1日午前/4科)
B入試:70名→50名(2月2日午後/2科)
C入試:40名→50名(2月4日午前/4科)
・合否判定は4科(B入試は2科)の合計点で行う。
・「基準点」は設けていない。
・4科入試は合格最低点が6割弱なので、不得意教科があっても合格点に達することは可能。
・英検4級以上の取得者には、合否判定の際、配慮あり。
②英語入試について
・2月2日の入試は午後になる
・出願資格は、英検3級相当以上の有資格者
・募集人員は、帰国生入試と合わせて40名
・最近の入学者の内訳
2019年度 帰国6名 英語22名 計28名
2020年度 帰国0名 英語19名 計19名
⇒英語入試による入学者数を増やしたい。
☆合否判定方法
・英検の取得級ごとに、国語と算数の合計点で合否判定
・一般入試の合格点が6割程度の場合の、合格基準の目安
英検3級 ・・・ 国算50%程度
英検準2級 ・・・ 国算45%程度
英検2級 ・・・ 国算40%程度
③国・算1科入試(2月1日午後)について
・募集人員 40名→60名
・過去2年間とも歩留まり率が高く、実態に合わせた
・国語または算数の点数のみで合否判定
・合格ラインは65~70点
・国語受験と算数受験で、難易度が同程度になるように、合格者数を案分している。
④探求サイエンス入試(2月2日午後)について
・昨年度から開始 32名受験 10名合格
・サイエンスアイランド(SI)での諸活動の中心になってくれる人
(SIの詳細:https://www.yamawaki.ed.jp/learning/island/si/)
・4科型で勉強していて、理科が特に好きな人向け。
・入試科目は「理科」と「課題研究」
・「理科」の得点が低得点の場合、不合格とすることがある。
・「課題研究」の採点は、ルーブリック評価で行う。
⑤複数回受験の優遇措置
・各回の入試の合否判定は、その入試の点数のみで行う。
・各回の入試ごとに、繰り上げ合格ゾーンを設定する。
・そのゾーンに複数回入っている受験生を優先して繰り上げる。
・国・算1科入試、探求サイエンス入試も複数回受験の対象となる。
・繰り上げ合格者のほとんどが、複数回の受験生
⑥帰国生入試について
・帰国生入試による入学者を増やしたい。
・一般入試と平行して「帰国生入試Ⅱ期」を3回実施
・英語の試験を廃止
・英検の優遇基準を2級→3級へ。
・英検の資格なしでも、国・算で受験できる。
・出願資格を緩やかに「原則として帰国後3年以内」
*帰国生入試による入学者であることに束縛されることなく、自分の志を育み、それを実現可能とするシステムを整えている。これを活用してほしいため、帰国生が入学できるチャンスを増やした。
*受験資格に不安がある場合は個別相談可能
帰国生入試Ⅰ期
・11月28日(土)午後に実施
・英検3級以上なら、国語または算数のいずれかと面接
・国語・算数の2科でも可能 アジア圏からの帰国生にも配慮
帰国生入試Ⅱ期
・英語入試と同様に、国語・算数を受験
・国語・算数は一般入試と同じ問題
・英検3級以上の取得者には、合否判定の際、配慮あり
・一般入試の合格点が6割弱の場合の合格基準のめやす
英検3級 ・・・ 国算50~45%程度
英検準2級 ・・・ 国算45~40%程度
英検2級 ・・・ 国算40%程度
⑦出願締切時刻を延長
・すべての入試について、当日朝7:00まで出願可能
⑧繰り上げ合格について
・2月5日(金)15:00 学園維持整備費納入締切の時点
・2月6日(土)15:00 誓約書提出締切=入学手続完了者確定の時点
・2月6日(土)以降は、辞退者があれば順次
・例年25名前後の繰り上げ合格者を出していたが、2年続けて繰り上げ合格なし。
⑨各科目の出題方針
【国語】
・日本語の基本的な知識や、文脈や場面に応じた言葉の運用能力を問う問題を出題。
・中学・高校での国語の授業で必要となる論理的思考力のベースとなる読解力や表現力を問う。
*大問4題
[一]:文章読解問題(説明的文章)
[二]:文章読解問題(物語的文章)
・漢字や語句の意味などの単純な知識問題は出題しない。
・論理的読解力や思考力を問う問題を中心に出題。
(主な出題内容)
1.論理構成や文脈の把握(接続語の空所補充など)
2.本文の内容の言い換えや要約
3.抽象的な考え⇔具体例の置き換え
4.登場人物の心情
5.論理展開や場面ごとの心情変化
6.本文全体をふまえた筆者の主張や、本文の主題
7.本文全体の表現の特徴
※例年大きく差がつくのは6,7のような選択問題
・記述問題に関して、正答となる答えの根拠が一部でも抑えられている場合には、受験生の理解度に応じて部分点を与えている。⇒受験生には完璧な答案でなくても、「自分はここまで考えた」という足跡を残してもらいたいと考えている。
※記述問題では指定字数の8割に満たない場合は減点対象
※文末表現(「~こと。」「~から。」)の不備も減点対象
[三]:総合問題(短い説明文章の読解+意見論述型問題)
・短い説明的文章の内容読解問題
・説明的文章の本文中における漢字や語句などの知識問題
・意見論述型問題:文章の内容を客観的に読み取るだけでなく、内容を身近な例に置き換えたり、書かれた内容に対する自分の意見を述べたり、書かれた内容を発展させて新たな考えを生み出す力を問う。⇒課題発見力や発想力を問いたい。
(出題例)
①本文で書かれていることの具体例を自分で考えなさい。
②本文で書かれている問題の解決策を自分で考えなさい。
③本文で書かれている問題についてのあなた自身の意見を述べなさい。
※応用力や発想力を問う問題
※配点は文章題の記述問題と同じ程度
※答案の内容に応じて、部分点あり
[四]:知識問題
・漢字や語句、文法などの知識問題
※漢字の書き取り問題や読みの問題は、小学校で習う1006字の中から出題。
※漢字の書き取り問題ではトメ・ハネのいい加減なものや、二画で書くべきところを一画で書いているものは、減点の対象。
2021年度午後入試の出題方針
・国語の授業で必要となる論理的思考力や読解力、表現力を問う。
<一般入試と異なる点>
・本文の文章量が一般入試よりも長め。
昨年度の出題例
大問Ⅰ:説明的文章
大問Ⅱ:物語的文章 Ⅰ・Ⅱを合わせて8,000字程度の文章量
※大問Ⅰ・Ⅱともに80字の記述問題を出題。
※試験問題のボリュームを増やすことは考えていない。⇒早いスピードで情報を処理する能力よりも、本文を丁寧に読み込み、じっくり考えて回答を作る力のある受験生に合格してもらいたい。
・記述の長さが一般入試よりも長め。→記述問題の配点を高めに設定。
・試験時間は一般入試よりも長い60分。
【算数】
一般入試について
・基本的知識と応用力を問う問題を出題する
・中学の数学の授業に取り組むための必要な学力を見ていく。⇒様々な分野からまんべんなく出題する。(割合や速さに関する問題、求積問題など。)
<具体的な作問の方針>
問題1 :基本~標準レベル(答えのみ解答)
問題2~4:標準~応用レベル(求め方も解答)
※難易度は例年通り
※記述式の問題を4→3題に変更、問題1の題数を増やす。
<採点基準と配点>
・全体の配点の割合は、基本レベル3割、標準レベル3割、応用レベル4割
・答えのみ書く問題では、部分点はない
・求め方を書く問題では、解答が正答と一致しなくても、考え方が合っていれば部分点の対象となる。
午後入試について
・バランスの取れた基礎知識と計算力
・問題文から必要な情報を的確に読み取り、最後まで解き進める力を問う問題を出題する
<具体的な作問の方針>
・幅広い分野から20~25問程度出題
・すべて答えのみ書いてもらう形式
・100点満点で、ほぼ均等に配点する予定(2020年度の問題を参照)⇒正解を早く、かつ確実に求められるように練習してほしい
〈2020年度入試の午後入試の問題より〉
Ex.) 1円玉だけがたくさん入った貯金箱があります。入っている1円玉をできるだけ5円玉に両替すると硬貨の枚数は260枚減りました。次に、5円玉をできるだけ10円玉に両替しました。さらに、10円玉をできるだけ100円玉に両替したところ、硬貨は全部で8枚になりました。貯金箱には何円入っていましたか。)
※解法について、特別な準備をしていなくても、問題文の中から必要な情報を適宜整理していけば正答することができる。
☆算数が得意・大好きという生徒に受験してほしいと考えている。
【社会】
出題方針:大きな変更点はなし。
Ⅰ 入学後に社会科を学んでいくときに知っていてほしい、基本的な知識を確認。
・地理:地名とその位置、地図や表の読み取り
・歴史:基本的な人名や用語、年表
・公民:憲法の条文
Ⅱ 新聞の一面で取り上げられるような出来事をはじめ、日本や世界の諸事情に関心を向けているかどうかを試す問題も、時事問題として出題。
Ⅲ 出来事の原因・背景や制度の趣旨に目を向けるという、社会科を学ぶときに必要な力も測定。
具体的な出題の方針
Ⅰ 知識に関する問題は、小学校の教科書や中学受験用のテキストに出ている頻出事項を中心に出題。
Ⅱ 全ての問題に目を通すことができるように、時間に余裕を持って読める長さの問題文に。
Ⅲ ①地理、②歴史、③公民の順に配列。
Ⅳ 空欄に入る用語を答える問題、下線部の語句について答える問題という形式がほとんど。1行程度の文章で答える問題も3~6問出題。
※原理・原則や原因・背景など、やや深く理解しているかを試す問題もあり。
Ⅴ 地形図、グラフ、年表などから読み取る問題も出題。
Ⅵ 内容に関しては、基本的な用語や年号を確認する問題がほとんど。
Ⅶ 時事問題を直接的に問う問題は、①地理や③公民で出題。
採点基準と配点について
Ⅰ 配点は歴史に重点を置く。
Ⅱ 漢字で答えるように指定してある問題にひらがなやカタカナで答えた場合は、不正解。
Ⅲ 短い文章で答える問題では、中心となる用語の誤記は減点。それ以外の言葉はひらがなで書いてあっても減点せず。
※論述する問題は、配点が高い。
Ⅳ 例えば『〔 ① 〕権』という空欄に解答する際に、『〔行政権〕権』と言葉を重複して解答してしまった場合は、減点。
【理科】
出題方針:出題傾向、難易度は例年通り
Ⅰ 入学後、理科を学んでいくために必要な知識と論理的思考力を問う。
Ⅱ 理科への興味関心、科学的思考力を育てるような問題を作成します。
具体的な作問の方針
Ⅰ 知識に関する問題は、中学受験用の問題集における頻出事項を中心に出題。
Ⅱ 論理的思考力は、日常生活や自然の中の体験や実験などを題材として、科学的知識を当てはめて考える形で問う。
・単年だけの時事問題は出題せず。例:「ノーベル化学賞受賞者の名前を答えよ」
・日頃からニュースで話題になっている現象・事象や教科書にトピックス的に扱われていること、日常生活に関わることは主に3,4で取り上げる。例:打ち水、洗濯ハンガーのバランス、外来種による生態系への影響
Ⅲ 科学的思考力は与えられた情報を分析し、必要に応じてデータ処理するなど思考した上で思考の過程や導かれる結論を表現する形で問う。
Ⅳ 大問は4題。大問は易しい問題から難しい問題という順に配列して受験生の学力を測定。
・1,2は知識問題、3,4は問題文やグラフ、データを読み解き、持っている知識をベースに思考力と表現力を問う記述問題や計算問題など。
Ⅴ 物理、化学、生物、地学分野を偏りなく出題することで理科の学力を総合的に測定。
採点基準と配点について
Ⅰ 漢字に関する採点について
・漢字という指定がない限り、ひらがなと答えても、単独の問題としては減点しませんが、答案全体としてひらがなが目立って多い場合は減点。また、明らかな誤字は減点の対象。
・文章のおかしいものや、趣旨が伝わってこないような表現には、都度減点の対象。
Ⅱ 単位に関する採点について
「単位をつけて答えなさい」という設問に対して単位をつけ忘れた解答は減点の対象。
Ⅲ 配点について
大問1,2に20~25点、3,4に35~40点の配点。
【探求サイエンス】
・2021年2月2日(火) 15:00 集合
・試験科目:「理科」30分/「課題研究」60分
・合格発表 2月2日 23:00
出題方針
以下の能力をはかる試験を作成。
・自然科学に向き合うための、小学校理科の基本的な知識と、計算力・読解力があるか。
・観察を通して、独創的な視点から問いかけ、自ら課題を発見し、条件の中で集めた情報から物事を論理的に説くことができるか。
・知識や考えを人に伝えるコミュニケーション能力を備えているか。
具体的な作問の方針
「理科」(30分)
・日常的な基礎学習の状態を測るための試験。
・小学校理科の基礎知識を問う過程で、計算処理の必要な問題・読解力の必要な問題も出題。
・物理、化学、生物、地学分野をまんべんなく、分野ごと大問1題ずつ出題。難易度の差はないように作問。
・過去問は昨年のみだが、難易度は「4科入試の理科」の過去問の①・②・③(小問の初めの部分)が参考になる。
「課題研究」(60分)
・ある課題をその場で提示し、受験生が取り組んだ思考過程を総合的に評価。
・提示される課題は1つ。
・観察を通した独創的な視点からの問いかけ、課題を発見する力、条件の中で集めた情報から事柄を論理的に説明する力、知識や考えを人に伝える表現力をみる課題を用意。
※実際の取り組みとポスター作成の時間の配分を事前に考えておくとよい。
探究サイエンス入試における評価項目とその内容
①実験についての注意点
・根拠を持って、納得のいく複数の項目をグループ分けしながら示せている
②結果
・意味のあるデータを処理し、それらが分かりやすい形で示せている。
※表を使うなどして、行った実験のデータを正しい方法でまとめ、客観的に理解しやすく表現してほしい。一歩進んだ分析(結果を基に、客観的事実を述べる表現)ができるとさらに高い評価が得られる。
③考察
・実験の目的に従ってし、結果の範囲内で、適切に考察されている。
・比較している、複数回のデータを処理していること。
※仮説通りにならなかったことは減点対象にならない。→「どうして思い通りにならなかったのか」を冷静に分析していれば、それが評価される。
④仮説の設定
・理由を示しつつ、論理的に仮説が立てられている。
・結果を予測し、そこから導かれる結論までを想定できる。
※実験データに含まれるものをより深く読み取っているものには極めて高得点を付けた。
*考察⇒仮説の順に説明された。この順番を踏むことが、60分間で試験に臨むことの学校側としての配慮だと言える。
⑤表現
・各項目が分かりやすい配置になっている。
・時系列が明らかで、レイアウトが適切である。
・人に伝わる表現ができる。
※イラストなど実験と直接関わりのないものについては評価対象としていない。