[コラム]『赤ずきんちゃん気を付けて』~子供の領分、親の役割 カフェラッテをどうぞ~

野球なら8回表、マラソンなら30kmを過ぎたところなのだろうか。
4年生から、あるいは5年生から中学受験という先の見えないゴールに向かって走り続けてきた子供達もまもなく本格的な受験シーズンに突入する。模試を受けるたびに一喜一憂している、今が一番しんどい時期なのかもしれない。苦手科目はどうしたって苦手科目だし、計算間違いをしなかったらあと10点は取れたのに、この漢字このまえやったばかりなのに。
悔しかったり気落ちしたりしてるだろう。
公開模試の会場も自分が受ける中学校で催されたりする。実際に中学校に立ち入ることのできる数少ないチャンスだ。教室の様子、変わったクラス名。(い組、桃組‥特に私立の学校はいろいろとユニークです)1年後に自分はどの学校にいるのだろうか。現実になり始める受験をヒリヒリと肌で感じる今、楽しみよりも不安が勝ってる気持ちと思う。

こんな時親に何ができるのだろうか?
私も中学生を持つ親として、定期テスト期間中にはどうあるべきか何をしてあげられるかどんな言葉をかけたら良いか、よく考える。
消化の良いものを、寒い時期なら体が冷えないように与えてあげたい。夜更かしをし過ぎていないだろうか。
心配をすればきりがない。テストも近いのにだらけ過ぎている気がする、いやそうでもないぞ前回のテストでは成績が振るわず少し落ち込んでいたようだったな、ドンマイ!なんて言ってあげたら良いのだろうか。

いろいろ考えて勝手に気疲れしてしまう。

しかし。
親の言うことは8割聞き流しているようだ。私が何を言っても、もう効き目がない。
無駄なことは言うのをやめよう、いや目に余るこれだけは言わないと、ということの繰り返しです。私も家庭では。
でも学校の先生に注意されたことは気にしてるし、友達が自分より勉強していることがわかると焦って模試を受けたい、講習も行かせてほしいと頼んでくる。考えていないわけではないのだ。

ということは、もはや健康管理だけが親の仕事なのではないか?という気がしてくる。中には落ち着いた親御さんや素直な子供もおられると思うので一概には言えないけれど、見えない部分を勝手に心配して過剰に追い詰める(塾どうだった?テストできたの?)より、温かいコーンスープ、おいしいハンバーグを作ってあげたほうがよほど丸く生活が回る。
志望校選びで対立してしまうこともあるだろう。でも、最終的には本人が通う学校、子供とはいえ自分の希望や考えはある。あまり尖らずこの時期を過ごしていきたい。

好きで中学受験勉強をしている子はごくわずか。すごく好き!でもない勉強の中にも楽しさとできた時の喜びを見出しとにかく今まで勉強を続けてこられたこと。これだけでもう実はとてつもなくすごいことなのではないかと思う。子供はもちろん、親御さんも。送り迎え、体調管理、志望校決定の面談。何年も伴走し続けてきたこと。頭が下がります。あともう少し、気を抜かず子供達を支えていきましょう。
子供達はますます集中力が高まっている。「このテストでは1問も間違わない、そんな意気込みで臨んでほしい」と言えば、100点、90点が取れるようになってきた。たかが単元確認テスト、されど高得点を取ることは難しい。「間違ってはいけないプレッシャー」の中で得点する力を養っていきたい。
受験は他人事で押し付けられたもの、プレッシャーばかりで内側に折れ曲がってしまったような顔つきの子は1人もいない。基本を自分のものにして独自の解法で解き始めている子を見ると、本当に嬉しい。
受験を迎える頃には私など超えてほしい。いつも生徒に言っていることである。

教師として生徒にアプローチすることはいくらでもできるのに、娘にはまるで役に立てない。母親に教えてもらうなんてイヤ。なのだろう。
仕方なく温かいカフェラッテを差し入れる。カフェインは我が家ではまだ禁断なのだがテスト期間中は特別に、コーヒー:牛乳=1:3くらいで。
こんこんとノックするとはあいと返事してドアからにゅっと手を出しカップを受け取る。
パタンと閉まったドアの向こうから、おいし!と聞こえる。
テスト勉強、できてるかなあ、大丈夫かなあ。
私の勝手な心配はやっぱりきりがない。