~算数は宝くじではない!~
「やったあ!あたった!」
答え合わせをしていて、この歓声を聞かない日はない。
私は軽くため息をつく。そしていつも言う。
「あたった、のではなく、あてた、でしょ?」
算数の答えが偶然に合う、ということはない。絶対に。
文章題も規則性の問題でも速さでも 食塩水も平面図形も立体の切断も、こうであるという理屈の上に式をたて、正確に計算してはじめて答えにたどり着くのだ。
もっとひどくなると、「えっ?これ、あたった?ほんと?ラッキー!」などと言ったりする。
私はふかーくため息をつくことになる。
算数は宝くじではない。おみくじでも願掛けでも神頼みでも当たりのアイスの棒でもない。
「あたった」のではない、「あてにいっている」のだ。あたった!と、ノーテンキに喜ぶ生徒には不吉な予言者のように私はこう言う。
「それは偶然だ。次はあたらないよ」
軽くびびる生徒に、解法を説明させる。…つたないけれど、少し途中危うかったけど、でも、間違っていない。だから、正解したのだ。
そして今度は、厳粛な裁判官のようにこう言う。
「君の考えは間違っていない。この問題が面積図を書けばいいとひらめいたことは特に素晴らしい。自信をもっていい。その長所を絶対に忘れないでほしい。」
ふにゃふにゃしてい た生徒の態度が、しゃきっとする。
算数は理屈の積み重ね。これはこう、これはこのはず、という小さな確信を積み重ねて点数につなげていく。 そうして過ごしてきた6 年生が今、点数が取れだして、充実の秋を迎えようとしている。
頑張れ 6 年生、続け後輩たち!